故人が亡くなってはじめて迎えるお盆を初盆や新盆といいますが、この初盆は普段のお盆よりも特に念入りに行われることが多く、この時期に合わせてお供えや香典を持ってこられる方もいらっしゃいます。
初盆のお供えを頂いたらお返しをしますが、その際ののしの表書きやお返しの金額の相場をご紹介します。
初盆はいつ?
故人が亡くなって49日の忌明け後に迎えるはじめてのお盆のことを「初盆(はつぼん)」といいます。
故人の命日を基準にするのではなく、49日の忌明けが済んでいるかどうかが基準になります。
お盆の期間は8月13日~15日が一般的になりつつありますが、地域によっては7月13日~15日に行うこともあります。
初盆のお返し
初盆の法要を営まない場合でも、初盆の時期に合わせてお供え物を持ってこられたり、送ってこれる方がいらっしゃいます。
その場合は、あらかじめお返しの品を用意してある場合にはその場でお渡しし、準備していない場合や送ってこられた場合は後日遅くとも2週間以内にはお返しの品を送りましょう。
のしの表書き
志 | 最も多く見られる表書きで、仏事のお返しでは志はどんな用途にでも用いられるく |
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粗供養 | 主に関西地方で一般的なお返しの表書き |
初盆(新盆)志 | 志に加え初盆のお返しですということを明記した表書き |
上記にあげた表書きが初盆のお返しでよく用いられる表書きです。
他にも地域によっては「盆供養」「新盆供養」「初盆会」などとするところもありますが、「志」にしていればまず間違いないでしょう。
のし下に記入する名前は施主のフルネーム、または苗字のみや「○○家」などとします。
薄墨じゃないとだめ?
初盆の場合は法要の日程があらかじめ決まっているため薄墨でなくても良いとされています。
特に忌明けを済ませている場合は薄墨でなくても良いとされる方もいらっしゃいます。
仏事で薄墨を用いる理由の1つに「急な訃報で墨をすっている時間もありませんでした」という意味があり、昔は墨を硯ですって筆を用いて文字を書いていたためで「悲しくて墨をすっていられません」ということなんですね。
そういうことを考えると現代では墨をすって文字を書くこと自体が珍しく、筆ペンで簡単に筆書き風にできることなどからも、前もって予定が分かっている法要に関しては薄墨にする必要がないとも言えますね。
しかし、仏事=薄墨という認識の方も多く初盆など年数に関係なく薄墨で書くほうが無難だと思います。
薄墨にしておけば「仏事といえば薄墨でしょ!」という認識の方がいらっしゃった場合でも安心ですし、失礼にもあたりません。
水引
のし紙の種類については「黒白」か「黄白」を使用します。
関東では「黒白」が多く見受けられますが、関西地方では「黄白」が一般的。
金額の相場
初盆のお返しも他の仏事のお返しと同様に、頂いた額の3分の1~半額程度が目安となります。
お供えをされる方の一般的な相場が3000円~一万円ほどですので、あらかじめ1500円~3000円程度の品を用意しておいて当日お渡しするか、実際に頂いた額を見てから後日お返しの品を送ってもいいでしょう。
当日、法要後に会食の席を設ける場合はその会食がお返しともなりますが、別途1500円~3000円程度の引き物(手土産)をお渡しするのが一般的です。
また、法要には出席しないけど、初盆ということでお焼香(線香)だけあげに訪れる方もいらっしゃいますので、その際には500円~1000円程度の品を持ち帰り頂くこともあります。
お返しの定番品
初盆のお返しでも食べ物や洗剤などの「消え物」といわれる消耗品が定番です。
その中でも、できるだけ日持ちするものや、当日持ち帰ってもらう場合は特に遠方の方に配慮して、かさばらず重くないものを選ぶ傾向にあります。
そうめん | 季節にも合った日持ちする食品の代表。 また麺類を贈ることで「末永く変わらぬお付き合いを」という意味も込められています。 |
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水ようかん・ゼリー | 比較的日持ちがしてお盆の季節によく合った品物ということで水菓子は定番 |
海苔 | 重くなく、消費しやすいことから弔事のお返しでは人気。 また精進料理の名残ということで弔事の際にはよく利用される定番。 |
日本茶 | 「お茶を飲んで故人を偲ぶ」などといわれ、弔事の贈りものとして定番中の定番。 |
洗剤 | 「悲しみを洗い流す」という意味がこめられたこちらも弔事の贈りものの定番。 ただし重くなるので当日持ち帰るには不向きとの意見も。 |
カタログギフト | お返し=カタログギフトというほど最近よく利用されています。 持ち帰りやすく金額の幅も広いので利用しやすいとの声も。 |
初盆の事前準備
初盆の行事を営むに当たり、事前に準備が必要なことがあります。
中でも出席者への連絡は遅くとも一ヶ月前までにはしましょう。
お盆はそれぞれ帰省や旅行など何かしらの予定を立てていることが考えられますので、親族以外の故人と親交のあった方をお招きしたいと考えている場合は早めに日程を決めて案内状を出す必要があります。
・僧侶への予定確認
お盆時期はお寺も忙しいときなので、早めにお寺に日程の確認を入れ僧侶の予定を押さえる
・親族や故人と親しかった方への連絡
僧侶の予定が決まったら招待する方へ連絡・案内状を送り出欠の確認をする
・料理の手配
おおよその出席人数がわかれば法要後の会食のため、お店や仕出しなど料理の手配をする
・お供え物の手配
あらかじめ持ち帰り用の品を用意する場合はショップの夏期休などに重なると間に合わないこともあるので早めの依頼がおすすめ
・精霊棚や盆提灯など盆飾りの準備
一つ一つ揃えるよりは仏具店などでセットで販売しているものを利用すると簡単
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お返しの品に添える礼状の一例
初盆の法要に際し、お供えや香典を頂いた方への返礼品には礼状を添えるとより感謝の気持ちが伝わり丁寧なお返しとなりますので文例をご紹介します。
・故人の名前は必ず入れる
・文中に「、」「。」など句読点は使わない
・参列して頂いたお礼・香典などお供えを頂いたことへのお礼の一文を入れる
・施主である差出人の氏名は必ず入れる
・文例は横書きで紹介しますが書く際は縦書きが基本
法要に来ていただいた方へ当日お渡しする場合
拝啓
時下ますます御清祥のことと心よりお慶び申し上げます
この度 亡父 田中太郎儀 初盆に際しましては過分なる御厚志を賜り大変有難く存じております
故人もさぞ感謝していることと思います
ささやかではございますが初盆の供養のしるしとして心ばかりの品を用意いたしましたので御受納くださいませ
本日は誠に有難うございました
敬具
平成三十年八月十五日
山田次郎
親族一同
法要に参加していない方へ品物に添えて送る場合
拝啓
時下ますます御清祥のことと心よりお慶び申し上げます
先日は亡父 田中太郎の初盆に際しまして過分なる御厚志を賜りまして誠に有難く厚く御礼申し上げます
お陰をもちまして去る八月十五日に初盆の法要を滞りなく相済ませました
つきましてはささやかではございますが初盆の供養のしるしとして
心ばかりの品をお贈りさせていただきます
本来であれば拝眉の上御礼を申し上げるべきところではございますが
略儀ながら書中をもちまして御礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
平成三十年八月十五日
山田次郎
親族一同
※亡父 と故人との続柄を入れる場合、施主(法要を執り行う家の代表者)との関係を記します。
※故人の名前は太郎だけでもよいが、故人と差出人になる施主の苗字が異なる場合は必ずフルネームで故人名を書く
※本文の日付は初盆法要を行った日付
※文末の日付は法要の日もしくは差し出す日にするが、月までにするか省いてもよい
※山田次郎と書いている文末の氏名は差出人(施主名で出すのが一般的)で、親族一同と入れる場合は施主名の左横に並べて書く
※地域により初盆と言わない場合は新盆などに変える
礼状を一枚一枚手書きするのは大変だと思う方もいらっしゃるかと思いますが、印刷でももちろん構いません。
パソコンが得意という方はご自身で印刷されてもいいでしょうが、初盆の礼状を出す場合のほとんどはお香典やお供えを頂いている方へ宛ててだと思いますので、お返しの品を買うお店に依頼するのが一番手っ取り早い方法です。
商品を注文すればその品物に無料で礼状を添えて発送してくれるお店もありますのでそういうところを選ぶのもおすすめ。
参考までに以下のインターネットショップをご紹介させて頂きます。
注文金額に関わらず、商品一点からでも礼状を無料で作成してもらえるので、追加で必要になった場合でも気軽に依頼できますし、校正もきちんとしてくれるので漢字や文面を事前に確認できるので安心です。