香典返しに付きものといってもいい挨拶状ですが、そもそもなぜ挨拶状が必要なのでしょうか。この記事では香典返しの挨拶状における一般的な決まりごとや形式などをご紹介していきます。
- 香典返しに挨拶状をそえる理由
- 宗教ごとに変わる文面
- 挨拶状文例:仏式の場合
- 多様化する挨拶状の種類
- 宅配が増えたによって一般的になってきた「略式挨拶状」
- より丁寧な印象の「奉書」(巻紙)タイプ
- 挨拶状は喪主や遺族の感謝の意を伝えるもの
香典返しに挨拶状をそえる理由
ご挨拶状とはお香典を頂いた方々に葬儀の際のお礼や忌明け法要を滞りなく営んだ(又は、営む)旨などをお伝えする大変重要なものです。
香典返しは本来、喪主が直接相手方に出向きお礼を述べるものでしたが、昨今では宅配で香典返しを送ることが一般的になってきたため、直接お礼を述べるかわりに丁寧に挨拶状を添えて贈るようになりました。
「挨拶状はいらないんじゃない?」と思われる方も、忙しいさなか故人のためにお香典をくださった方へ感謝を伝え、また故人の法要が滞りなく行なわれたことの報告も兼ねているため、挨拶状を添えることをおすすめ致します。
きっと頂いた方は挨拶状を見て、「ご遺族の方は少し落ち着かれたのかな」と安心されることでしょう。
宗教ごとに変わる文面
香典返しというしきたりがない仏式以外の宗派の場合でも、日本の習慣が影響して、五十日祭や三十日目の追悼式・一ヶ月目の召天記念日などを忌明けとして香典返しをするというのがごく一般的になっているため、挨拶状の文面はなんでも良いというわけではありません。
主に"死の表現"、"忌明けに対する表現"が大きく異なります。
例えば仏式では「死去」と表すのに対し、神式では「帰幽」となったり、仏式では「忌明けの法要」と記載するのに対し、神式では「五十日祭」となったりします。
キリスト教や天理教でもこれらの表現が異なってきます。
文面の構成としては、
●冒頭の挨拶
●葬儀・香典へのお礼
●忌明けの法要を無事に済ませた報告
●書中での挨拶になることへの詫び
●忌明けの印の粗品であること
おおまかに上記の内容をふまえて作成するのが一般的です。
挨拶状文例:仏式の場合
謹啓
御尊家御一同様愈々御清祥のこととお慶び申し上げます
過日 亡父 次郎儀死去の際は御懇篤なる御弔慰と過分なる御厚志を賜わり御厚情の程誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして忌明けの法要を滞りなく相営みました
早速拝眉の上親しく御礼申し上げるのが本意でございますが書中をもって御礼かたがた御挨拶申し上げます
敬 具
平成二十九年七月
石 川 太 郎追伸 忌明けのお印までに粗品をお届けさせて頂きましたので御受納下さいます様お願い申し上げます
喪主が代表してお礼を述べるものですので、必ず文末には喪主の名前を入れましょう。また、「。」や「、」などの句読点は使用しません。
戒名・法名を文面に入れる場合もあります。
ご挨拶状は宗教ごとに内容が異なったり、普段手紙を書き慣れている人でもなかなか使わない言葉遣いや、決まりごとがいくつもあるためきちんとした知識のあるお店に作成を依頼するか、相談されることをお勧めします。
昨今ではそれぞれの宗派ごとに見合ったテンプレートを用意しているお店もありますので、商品だけでなく文面の作成にも詳しいお店を選びたいところですね。
↓香典返しの挨拶状の文例や言葉の意味など詳しくは以下の記事をご覧ください。
多様化する挨拶状の種類
近年では葬儀の際にご遺族が香典の受取を辞退されることも多く、香典返し自体が習慣として減ってきているようですが、挨拶状もまた時代とともに簡略化されてきています。
挨拶状は「奉書」などと呼ばれる巻紙タイプが主流でしたが、昨今ではあまり大げさにせず感謝の気持ちを添えたいというニーズからも、カードタイプの略式挨拶状も増えてきています。
宅配が増えたによって一般的になってきた「略式挨拶状」
最近良く見かけるのし紙と兼用の略式挨拶状の場合は、この挨拶状一枚でのし掛けも要らないことから、インターネットショッピングの登場などでお香典返しにおける宅配がごく一般的になってきたため、挨拶状もより贈りやすく時代に合わせ変化しました。
受け取る側もすぐに内容を目にしやすいため、生活スタイルの多様化や香典返しの宅配サービスの普及における挨拶状の簡略化は忙しい現代人にとって、贈る側・受け取る側の理にかなった形といえるでしょう。
より丁寧な印象の「奉書」(巻紙)タイプ
上記では略式挨拶状がより一般的な形になりつつあると記載しましたが、そうはいっても巻紙を封筒に入れて添える「奉書」タイプは、香典返しをするにあたりより丁寧な形として選ばれる方も数多くいらっしゃいます。
香典返しを宅配でお渡しするかわりに、挨拶状はきちんとした形のものをとお考えになる方はこちらのタイプがおすすめです。
挨拶状は喪主や遺族の感謝の意を伝えるもの
挨拶状の形は多様化しても、直接お礼を申し上げることができない喪主や遺族のかわりに感謝の気持ちを伝える役割であることには変わりはありません。
挨拶状を添えるのに大げさすぎるなんてことはありませんので、是非添えられることをお勧めします。
また、香典返しの形は地域性もあるかと思いますので、親族やその地域のしきたりに詳しい方に相談されるのも良いかもしれません。
それこそあまり大げさに考えず、遺族の感謝が伝わる内容であることを一番に、挨拶状を選びたいものですね。
【参考文献】
・お坊さんがイチから教える! 葬儀・法要のマナーと心がまえ―宗派ごとの違いも大胆に説明:現代の葬儀を考える僧侶の会(監修)
・葬儀・法要・相続 マナーと手続きのすべて:主婦の友社編