- 水引について
- 表書き
- 満中陰とは?
- 神式やキリスト教では「偲び草」とされることも
- 香典返しの場合のし下は「故人」の苗字
- 絵柄つきののし紙を用いる時は注意
- 相手が故人とあまり縁がなかった場合は
- 「志」と「寸志」の違いに気をつけて!
水引について
弔事ギフトに使用する水引は「黒白」「黄白」などがあり、”これが正解!”というこは無いものの、水引の色に関しては地域によって異なります。
「黒白結びきり」がごく一般的といえますが、関西~西日本では「黄白結びきり」を用いることが多くあります。
一般的とされる水引の色は地域によっても異なりますので、地域のギフトショップや百貨店で使用されている水引を参考にするのもよいでしょう。
"結びきり"とは、水引の結び目が真結びになっているもので、結び直せない、つまり「何度も繰り返さないように」との意味が込められていますので弔事ギフトの場合はすべて結びきりの水引となります。
また、ほどけそうでほどけない「あわじ結び」を用いることもあり、こちらは慶弔どちらにも使われる水引で、末永いお付き合いの意味がありますので覚えておくと良いでしょう。
※弔事でも紅白の水引を使用することもある
弔事の場合でも地域によっては紅白の水引を用いる場合があります。
これは、五十回忌などの場合で、五十回忌の法要ができた、つまりはその家や子孫の繁栄を表す証のようなものであり、めでたいと捉えるためです。
この場合の水引は「結びきり」となりますが、通常お祝い事に使用されるものとは違い、水引の右上にある「熨斗」が無いものを使用しましょう。
「熨斗(のし)」とは
一般的には「のし紙」などと言われ混同されがちですが、「のし(熨斗)」とは水引の右上に印刷されている上記画像のような部分を指します。
これは「熨斗鮑(のしあわび)」と言われ、古くはアワビの肉を薄く切り、火のしを使って平らにのばし乾燥させたものを色紙に包み、慶事の贈答品に添えていました。
これが時代とともに簡略化され、現在の一般に「のし紙」と呼ばれるあわびを模した熨斗が印刷されたものとなりました。
弔事の場合は「のし」がついていないので、「掛け紙」といいますが、総称して「のし紙」と言われています。
仏事における精進料理では魚などの生臭物が禁じられているため、精進でないことを示すために、慶事では熨斗を添えるようになったとも言われておりますので、仏事では熨斗が印刷されていない水引だけの「のし(掛け紙)」を使用します。
表書き
■ 仏式:「志」「満中陰志」など
■ 神式:「偲び草」「偲草」「志」
■キリスト教:「偲び草」「偲草」・「志」
「志」は宗教問わず用いることができる
香典返しの表書きで悩んだら「志」とするのがよいでしょう。
「志」は宗教問わず使用でき、香典返しではごく一般的な表書きとなっています。
満中陰とは?
西日本(主に関西地域)では、「満中陰志」とされる場合も多く、仏教の場合、人の死後49日の間を「中陰」の期間といい、忌明け後に贈る香典返しはこの中陰を終えた(満了した・満ちた)という意味で「満中陰志」とされます。
「志」は感謝の印を表したものですので、「満、中陰の志」というわけなんですね。
神式やキリスト教では「偲び草」とされることも
香典返しというしきたりがない神式やキリスト教の場合でも、別記事(香典返しの基礎知識)でも記載したように日本の風習に習い、五十日祭や三十日目の追悼式、一ヶ月目の召天記念日にそれぞれ香典返しにあたる品を用意することが多いようです。
この場合の表書きでは「志」の他に「偲び草」(偲草でもOK)と書くこともあります。
香典返しの場合のし下は「故人」の苗字
先述ではのし上(水引の上部)に記載する内容について書きましたが、のし下(水引の下部)には何を記載すればよいでしょうか。
通常、のし下には贈り主の名前を記載しますが、香典返しの場合は「喪家」つまりは亡くなった方の苗字を入れるのが一般的です。
書き方としては、苗字のみ、または、○○家という書き方をします。
この場合、A家の最後の一人が亡くなった場合でものし下には、A(家)といれます。 少し疑問に思われるかもしれませんが、「A家のお香典返し」と考えると理解しやすいのではないでしょうか。
絵柄つきののし紙を用いる時は注意
近頃では、蓮や百合といった様々な絵柄がデザインされたのし紙も多く見かけるようになりました。
せっかくなら「少しこだわった絵柄付きにしたい」と思われる方も多いかと思いますが、ここで注意したいのが、デザインされている花などの種類です。
特によく見かけるのが「蓮(はす)」がデザインされたのし紙ですが、蓮は仏教のみで使用されますので、キリスト教や神式の場合は使わないように注意しましょう。
相手が故人とあまり縁がなかった場合は
最近では喪主名や施主名を記載することもあるようですが、妻の親がなくなった場合で、夫の仕事関係の方へお香典返しをする場合など、故人とあまり縁がなかった方へ香典返しをする場合は、香典返しを宅配する場合なら、夫の名前で発送し、中身は喪家の名前が記載されたのし紙とされるのがいいでしょう。
「のし下がこの名前だと相手がピンとこないかも・・」という理由であれば、よほどの事情がない限り、受け取る相手によってのしに記載する名前を変更する必要はないですし、香典返しの多くは挨拶状も添えることが多いですので受け取りの際に誰からの品か分かりさえすれば、のし下は通常通り喪家の名前でいいでしょう。
手渡しする際も同様で、こちらは尚のこと直接お渡しするのですから問題はないでしょう。
※喪主=遺族の代表となり、葬儀を行う人
※施主=葬儀などにかかる、費用を負担する人(お布施をする主)
※喪家=喪に服す家・当ブログでは喪家=故人の苗字としても使用
「志」と「寸志」の違いに気をつけて!
のし書きをお店に依頼する際に「志」と「寸志」の取り違えに注意してください。
「志」とは仏事に使用する表書きで、
「寸志」は目上から目下へお礼や差し入れなどする際に使われるものです。
また、寸志の表書きの場合、紅白の水引ののし紙が一般的ですが、これを仏事で使用すると大変失礼な事になってしまいます。
また、寸志のつもりで用意したにもかかわらず、表書きに仏事で使われる「志」と入れないように注意しましょう。
ギフトを扱うお店でも、この2つの取り違えはよく耳にします。
仏事は「志」で、黒白または黄白などの水引、「寸志」は目下の方へ贈る場合にのみ、紅白の水引で用意してもらいましょう。
きちんとしたお店ならば、志とお願いすれば仏事用、寸志といえば紅白、と察してくれるかと思いますが、万が一を考えてきちんと把握しておくようにしましょう。