昨今の香典返しでよく見かけるようになった「略式挨拶状」ですが、
「カード式」や「簡易挨拶状」とも言われており、今ではそれらを用いた香典返しが非常に増えてきています。
では、「略式挨拶状」とはいったいどんなものなのでしょうか。また、略式の挨拶状は「相手に失礼はないのか」という疑問にお答えし、その特徴について記事にまとめました。
略式挨拶状とは
本来の挨拶状は一般に「巻紙」と言われる奉書紙を封筒に入れたものが正式とされてきましたが、略式挨拶状といわれる封筒に入れる必要のない、一枚もののカードタイプや、別途のし掛けをしない、のし一体型の略式挨拶状が非常に多く用いられるようになってきました。
この略式挨拶状は扱うお店により様々な形がありますが、時代とともに葬儀が簡素化したり、香典返しにおける一般の認識も変わってきたこともあり、「巻紙では大げさすぎる」「もっと簡単にしたいけど相手に失礼のないようにしたい」というようなお客様自身の要望と、近年インターネットショップの普及で香典返しも相手に直接宅配することが一般的になってきたことで、宅配のしやすさや、受け取り後に相手にもすぐに内容を読んでもらえるようにということからも、「巻紙(奉書)タイプを簡略化した」このような挨拶状を「略式挨拶状」といいます。
上記画像はのし(掛け紙)が一体化したもので、略式挨拶状といえばこのタイプを想像される方も多いのではないでしょうか。
このようなのし一体型タイプは、のし(掛け紙)の機能も兼ねているため、この挨拶状一枚を香典返しの品に添え、のし掛けはしない場合がほとんどですが、「のし掛けがない品物自体が失礼」であるという見方もあるため、このタイプの挨拶状でものし掛けをすることもあります。
また、お店によっては一枚物のはがきサイズほどのカードを用いているところもあり、この場合の多くはのし(掛け紙)の機能は備えていないため、挨拶状とのし(掛け紙)の両方を香典返しの品に付けます。
略式で失礼にはならないの?
先述にも記載しましたが、本来は香典返しに挨拶状を添える際は「巻紙」と言われる
封筒に入った「奉書」タイプが正式なものとされていました。
しかし、この巻紙タイプも葬儀や香典返しのスタイルが時代とともに変化して生まれたものといえます。
本来、香典返しは喪主が直接相手方に出向いてお礼を述べるものでしたが、昨今では宅配で香典返しを送ることが一般的になってきたため、直接お礼を述べるかわりに香典返しの品に挨拶状を添えて送るようになったといわれています。
封筒に入った奉書紙であれば格式高く、「うやうやしく」感じられるのでより丁寧な印象にしたい場合は巻紙タイプにするのがよいと思いますが、
略式挨拶状が失礼であるかという点については、香典返しの本来の形を考えるとそうとも言い切れません。
ただし、先にも記載したようにのし(掛け紙)と一体化になっているタイプは、品物に挨拶状だけが付いて先方に届きますので、のし(掛け紙)がない状態を良しとしない場合は、のし掛けと併用できる巻紙タイプ、もしくはのし(掛け紙)と一体になっていないカードタイプにするのがよいでしょう。
巻紙でも略式でも、「のし(掛け紙)」があるかないかのほうが印象が大きく変わるといえます。
昨今では略式挨拶状での香典返しが非常に増えてきていることもあり、略式の挨拶状を受け取ったからといって「失礼」と捉えることはほとんどありません。
それよりものし掛けがしてあるかが重要ではないでしょうか。
より丁寧にしたい場合は「のし(掛け紙)+挨拶状」の形を取れる巻紙や、のし(掛け紙)機能がないカードタイプにし、仰々しく(大げさ)にはしたくないという場合は、のし(掛け紙)と一体化になった略式挨拶状を用いるとよいでしょう。
のし(掛け紙)について
日本の贈答文化において、「のし」は非常に重要で当たり前ともいえるものです。
香典返しにおいても、きちんと表書きをしたのし(掛け紙)があると丁寧な印象になり、その贈答品がぐっと引き締まった印象になります。
一般に「のし」と言われ、仏事においては「掛け紙」ともいわれるのし紙も、時代とともに簡略化されたものであるということをまずはご理解ください。
略式挨拶状(のし一体型)
のし(掛け紙)と一体化した挨拶状は、以下画像のように、通常であればのし(掛け紙)に記載する表書きを挨拶状の中に組み込んだものとなっています。
画像のように、折った時に右端だけが出るような形で、その部分に通常であれば、のし(掛け紙)に書く「志/石川家」と表書きが印刷されています。
こうすることで、この挨拶状一枚で香典返しに必要な「のし」と「挨拶状」の役割を果たしているというわけです。
近頃ではこのタイプの挨拶状が非常に多く利用されており、香典返し自体が簡素化されつつある昨今では、大げさな形式にとらわれずコスト面でも宅配のしやすさからもこの略式タイプが一般的な香典返しの挨拶状の形として認識されつつあります。
また、香典返しの挨拶状として専用のものになるため、これ一つでも香典返しとして質素になり過ぎないのもいいところです。
略式挨拶状(カードタイプ)
挨拶状とのし(掛け紙)はきちんとそれぞれに施したい。しかし、巻紙では大げさすぎるし感謝の言葉は添えたいという場合は、のし(掛け紙)の役割を備えていない、ハガキサイズほどのカードタイプにするのがよいでしょう。
これは簡単にいえば、メッセージカードに近いもので、
巻紙やのし一体型の挨拶状と同様に文章を入れますが、このタイプは記載されている文章が一律の既製品であったり、故人のお名前などを入れることができても文面が巻紙などに比べ簡潔になっている場合があります。
お店に寄っては取扱いがないこともありますし、香典返しの挨拶状としては他のものに比べカジュアルな印象です。
挨拶状まではいらないけど、一応何か添えておいたほうがいいかなという場合に便利です。
挨拶状選びのポイント
それぞれの挨拶状の特徴から、選ぶ際の参考までに以下にまとめました。
巻紙(奉書)タイプ | 別途のし掛けもしたい方で、形式的にもきちんとしたい方向け。挨拶状として一番丁寧。 |
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略式挨拶状(のし一体型) | きちんと香典返しとして格好がつくけどもっと簡単でよいという方や、巻紙ほど大げさにはしたくないという方に。 |
略式挨拶状(カードタイプ) | 簡単にはしたいけど、のし掛けはきちんとしたいという方や、本当はのし掛けだけでもいいという方向け。 |
もちろん、挨拶状を付けずにのし掛けだけするというのも問題はありませんが、挨拶状があったほうが香典返しとしては見慣れていることもあり、より丁寧な印象になることは間違いないでしょう。
しかし、挨拶状はあくまで忌明けの報告と故人を想って気遣ってくださった方へ、感謝の気持ちを香典返しの品物とは別に伝える方法の一つです。
感謝が伝わる挨拶状を選びましょう
挨拶状の形式は様々ですが、「巻紙じゃなければダメ」「カード式は失礼」という形式にとらわれた概念より、故人を悼んで香典を下さった方に対して、どのように感謝を伝えるかを考えましょう。
見栄や体裁を完全に無視することはできませんが、故人になり代わって葬儀の際のお礼を伝えるということもふまえ、どの挨拶状にするか決められてはいかがでしょうか。