最近「初彼岸(はつひがん)」という言葉をよく耳にするようになりました。
少し前まではネットの記事やギフト関連のお店などでも「初彼岸」という言葉を大々的に宣伝しているところは少なかったように思いますが、最近では初盆のお知らせと合わせて初彼岸という言葉でパンフレットが用意されていたり、初彼岸だけで大きく宣伝を打ち出しているお店も見かけるようになりました。
初彼岸とは初盆同様に故人がはじめて迎える彼岸のことですが、初彼岸は特別な行事を行う必要があるのでしょうか?
初彼岸についての疑問を一緒に解決していきましょう。
初彼岸の時期
初彼岸は故人が初めて迎えるお彼岸のことですが、忌明けを終えているかどうかが決め手となります。
例えば2024年(令和6年)の秋の彼岸入は9月19日ですがこの時に忌明けを終えていない場合は翌年の春のお彼岸が初彼岸となります。 また春の彼岸後から秋の彼岸までに忌明けを迎えていれば秋のお彼岸が初彼岸となります。
この初彼岸の時期も初盆と同様に49日の忌明けが過ぎているかどうかで判断をしましょう。
2024年(令和6年)のお彼岸の期間は以下のとおりです。
お彼岸のスタート日を「彼岸入り(ひがんいり)」といい、お彼岸が終わる日のことを「彼岸明け(ひがんあけ)」といいます。
お彼岸とは毎年3月の「春分の日」と9月の「秋分の日」を中日として、その前後3日間を合わせた計7日間のことを指します。
そもそも彼岸ってなに?
彼岸といえば「彼岸花(ひがんばな)」が咲くというイメージの方も多いかと思いますが、実際それ以上彼岸についてはあまり詳しく知らないという方のほうが多いのではないでしょうか。
彼岸とはもともと仏教の言葉で「岸の向こう」という意味があり、岸の向こう側つまり仏様のいる悟りの世界を指している言葉でもあり、煩悩を脱した悟りの境地を彼岸というのですが、仏教ではご先祖様のいる悟りの世界を「彼岸(ひがん)」といい、今私達が生きているこの世を「此岸(しがん)」といいます。
彼岸は西に位置し、此岸は東に位置するとされていることから、3月の春分の日と9月の秋分の日は真東から昇った太陽が真西に沈むので彼岸と此岸が最も通じやすい日になると考えられ、あの世とこの世が最も近くなるこの期間に、彼岸へ渡った死者を供養すると共に、まだ成仏できずに彼岸に渡っていない死者たちに早く彼岸へたどり着けるよう祈る日だという考えもあります。
初彼岸は何か特別なことをするの?
盆飾りをしたり、親族や故人と親しかった方を招いて法要を行う初盆と違い、初彼岸では各家庭で個別に法要を行ったり、飾り付けをしたりの行事は特にありません。
しかし、彼岸の時期はいつもより念入りに墓掃除をしたり墓参りに行ったりします。
また特定の寺の檀家になっている場合はその寺で行われる「彼岸会(ひがんえ)」に参加するのもいいでしょう。
通常、彼岸会は彼岸の時期の一週間かけて行われますが、寺によっては一般向けに行われる数時間程度のものもあります。
彼岸会に参加することは故人の供養にもなると言われていますので機会があれば参加してみてもいいでしょう。
特別なことはしなくてもお墓参りや仏壇に手を合わせるということだけでも十分な供養になると思います。
初彼岸にお供えを頂いたら
彼岸では特に行事ごとは行わないと言いましたが、この時期に親族や故人と親しかった方などが墓参りや、またその帰りにお供えを持って訪ねてこられるというケースもあります。
ごく親しい身内(兄弟姉妹など)の場合はお返しなどにさほど気遣いはしなくていい場合もありますが、身内以外の他人からお供えなどを頂いた場合は受け取った金額の3分の1から半額程度の品を贈りましょう。
もしいただいたのが線香だった場合「線香はお返し不要」ともいわれるため迷いますが、相手との関係性で貰いっぱなしにはできないと判断された場合は3分の1でも何かお返しをしておくのが無難かと思います。
初彼岸は大きな法要を営むわけではないのでお供えの額もさほど高額にはならないかと思います。そんなときは「ありがとう」で済む間柄であればそのままご厚意をありがたく頂戴しておくというのもひとつです。
そういう関係性の相手とはこれからのお付き合いの中で中元や歳暮などいくらでも感謝を伝える機会はあると思います。 子供のお祝いなどもそうであるように、言い方は良くないですが長い目で見れば自然と「貸し借りなし」になっていくもの。お互い様なのです。
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まとめ
初盆では親族や故人と親しかった知人を招いて法事などを行いますが初彼岸でそういった法事を行うというのは聞いたことがありません。あったとしても極稀なケースではないでしょうか?
知人が亡くなり今年が初彼岸だからお供えをしないといけない決まりはありません。同じするなら初盆のほうが一般的でしょう。
しかし、初盆の時期を逃してお供えをしていなかったという場合などはこの初彼岸にあわせて墓参りやお供えを贈ってもいいでしょう。初盆にお供えをしたのであれば初彼岸までは不要だと思います。
度々短期間にお供えばかり届いたのでは遺族も気疲れするかもしれません。
初彼岸は特に大々的な行事も行わないのになぜ今ここまでこの言葉が表立って取り出されるのでしょうね。
現代では葬儀の簡略化などをはじめとしてそれに伴い香典返しの減少などもあり、初盆などの特殊な供養自体を行わないケースも増えていると聞きます。
そういうこともあってか初彼岸という言葉に新たに焦点をあてることで販路拡大を狙うギフト業界の戦略かとも思えます。
初彼岸だからと気張らずに、故人のために仏壇に手を合わせるだけで立派な供養になりますので「初彼岸」という言葉に惑わされすぎないようにしてください。