葬儀が終わってからも決まった日数で行われる法要の数々。葬儀後行われる法要についてのあれこれをまとめました。
少し記事が長くなりますのでお時間のない方はご自身に必要な情報まで目次からスキップしてください。
この記事の内容は仏式でのケースをメインに書かせていただいております。
- 法要と法事の違い
- 法要を行う時期
- 法要の準備手順
- 法要が重なったとき
- 法要・法事の服装
- 男性の服装
- 女性の服装
- 法要に招かれたら必ず出席しないとだめ?
- お供えのマナー
- 返礼品のマナー
- 返礼品の相場
- 返礼品の品物選び
- 返礼品のしの書き方
- 後日贈る場合は礼状をつける
法要と法事の違い
亡くなった人に対して行う供養を「追善供養(ついぜんくよう)」といい、この供養で故人を偲び遺族が集まって僧侶にお経をあげてもらうことを「法要」といいます。
この追善供養の後の会食までを含む行事が「法事」となります。
遺族や近親者が集まり僧侶にお経をあげてもらうこと→法要
当日の会食までを含む行事全般→法事
総称して「法事」と言われる方も多いと思いますが法要と法事では指す事柄が異なりますので違いだけでも知っていて損はないかと思います。
法要を行う時期
追善供養は、亡くなってから何日目というふうに
日数で数えて行う「忌日法要(きびほうよう)」と、
何年目というふうに
年数で数えて行う「年忌法要(ねんきほうよう)」があります。
忌日法要とは
忌日法要は亡くなってから7日ごとに行い、亡くなった日を1日目として数えるのが通常です。ただし百箇日法要は100日目に行います。
この忌日法要は一週間ごとに行いますので、行う時間や曜日を人が集まりやすい日時に固定して行われるケースが多くあります。
正式な日が平日だったりするとその直前の土日のいずれかにずらすのがよいと思いますので法要をお願いするお寺と日取り決めの相談をされるのがよいでしょう。
筆者の地域では土曜日の夜7時スタートが多く、42日目の六七日までの法要にはご近所の方もお参りする習慣がありますので人が集まりやすい夜が定番となっており約1時間程度の法要後にご近所の方が帰り親族や近親者のみで会食をしますが、49日だけはお経も長めに唱えてもらうので朝から休憩をはさみながら3時間ほどの法要を行います。法要後はご近所の方を除く全員でお墓参りに行き、その後に会食をするというのが筆者の地域・宗派で行う法事の流れです。
地域の習慣や宗派などでも法要の行い方は様々ですのでその地域で法要を担当しているお寺に相談されるのが一番だと思います。
忌日法要一覧
初七日 (しょなのか/しょなぬか) |
7日目。葬儀当日に初七日を行う場合が多い。 |
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二七日 (ふたなのか/ふたなぬか) |
14日目。葬儀当日に初七日を終えている場合は、実質この二七日からスタートのようなもの。 |
三七日 (みなのか/みなぬか) |
21日目 |
四七日 (よなのか/よなぬか) |
28日目 |
五七日 (いつなのか/いつなぬか) |
35日目 |
六七日 (むなのか/むなぬか) |
42日目 |
七七日 (なななのか/なななぬか) |
49日目。この七七日法要で忌明けを迎えます。 香典返しはこの49日法要後に送られることがほとんど。 |
百箇日 (ひゃっかにち) |
100日目。忌明け後最初に迎える法要です。 |
年忌法要とは
亡くなってから翌年以降に決まった年数で行う法要のことをいいます。
こちらもお寺や親族と相談して命日にあたる日の前後で(できれば前に)都合のよい日で日程を調整します。
年忌法要一覧
一周忌 (いっしゅうき) |
満1年目で、亡くなった翌年をいいます。 のし紙に記載する際などに「一回忌」と間違われることもありますが、一回忌は葬儀のお勤めのことを言います。 というのも、数え年と同じ数え方をするためで、亡くなった年が「1」とされるからです。 一周忌にあたる翌年のお勤めは、いうなれば二回忌となりますが、亡くなってから一年経った、つまり一周したということから「一周忌」という表現になっており、周忌と表現するのはこの時のみとなっています。 |
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三回忌 (さんかいき) |
満2年目 |
七回忌 (ななかいき) |
満6年目。 この七回忌の頃から法要の規模を縮小していき、遺族や親族のみで行う場合が多いです。 |
十三回忌 (じゅうさんかいき) |
満12年目 |
十七回忌 (じゅうななかいき) |
満16年目。 地域や家々によっては省略する場合もあります。 |
二十三回忌 (にじゅうさんかいき) |
満22年目。 地域や家々によっては省略する場合もあります。 |
二十七回忌 (にじゅうななかいき) |
満26年目。 地域や家々によっては省略する場合もあります。 |
三十三回忌 (さんじゅうさんかいき) |
満32年目で、弔い上げ(とむらいあげ)とも言われており、一般的にはこの弔い上げをもってそれ以降の法要はせず、年忌法要は終了とするということになります。 仏教の世界では33年経てば、どんな人でも無罪となり極楽浄土へ行くことができると考えられており、この三十三回忌をもって亡くなった個人としてではなく、先祖の霊として祀られるようになります。 その為、このときに戒名を記した位牌を片付け、「○○家先祖之霊」と書かれた先祖代々の位牌を祀ります。 地域や家々によっては、五十回忌を弔い上げとする場合もあります。 |
三十七回忌 (さんじゅうななかいき) |
満36年目。 地域や家々によっては省略する場合もあります。 |
四十三回忌 (よんじゅうさんかいき) |
満42年目。 地域や家々によっては省略する場合もあります。 |
四十七回忌 (よんじゅうななかいき) |
満46年目。 地域や家々によっては省略する場合もあります。 |
五十回忌 (ごじゅっかいき) |
満49年目で、三十三回忌を弔い上げとしなかった場合は、この五十回忌を弔い上げとします。 この時、五十回忌の法要ができた、つまりはその家や子孫の繁栄を表す証のようなものであり、めでたいと捉えることから、のしの水引を紅白にする地域もあります。 この場合の水引は「結びきり」となりますが、通常お祝い事に使用されるものとは違い、水引の右上にある「熨斗」が無いものを使用しましょう。 |
一回忌と一周忌の違い
回忌は「数え年」、周忌は「満年齢」と同じ数え方をし、一回忌と一周忌はそれぞれ異なる時期を指していますので混同しないよう気をつけましょう。
数え年と満年齢の数え方
数え年は、生まれた年を一歳として新年のたびに一つ歳を加えます。
生まれたその日に「一歳」、翌年の1月1日で「二歳」となり誕生日に関係なく1月1日の元旦に誰もが一つ歳をとります。
そのため12月31日生まれの子も1月1日になれば「二歳」となるのです。
数えの場合はその人が関わった暦年の数で年齢を数えるため、2017年12月31日生まれの人は2017年に関わりがあるとされ、たった一日でもその時点で「一歳」となり、 翌年の2018年になると2017年と2018年の2つの暦年に関わったとされ「二歳」となります。
生まれた年を「1」と計算する数えとは異なり、満年齢は生まれた年を0歳として、誕生日ごとに一つ歳を重ねます。
回忌は数え年と同じ数え方をすることから、亡くなった日を「1」と計算するため一回忌は葬儀のお勤めのことを指します。
では一周忌はというと、亡くなった翌年を指し言うなれば「二回忌」となりますが、亡くなってから一年経った、つまりは一周したということから「一周忌」といい、一年目のみ「周忌」という表現をしますので葬儀の翌年は「一周忌法要」となります。
二年目以降は数え年と同じ数え方をするため、丸2年で三回忌、丸6年で七回忌というふうに実際の年数にプラス1をすると分かりやすいかと思います。
何回忌まで法要を営む?
回忌ごとにきっちりと抜けることなく法要を営むのが理想ですが、昨今では七回忌もしくは十三回忌までは法要をし、その後は三十三回忌まで省略するというケースも増えています。
また、最後の法要とする弔い上げも五十回忌ではなく三十三回忌にするということもめずらしくありません。
五十回忌ともなると故人を知る遺族が少なくなったり、遺族の高齢化などが理由となり法要を営むのが困難な場合もあります。
長く法要を続けていけることは子々孫々その家(一族)の繁栄の象徴でもありますが、法要をいつまで続けるかは遺族間やお寺と相談したうえで決め、できる限りの供養をしましょう。
法要の準備手順
法要・法事の準備に際しては何をおいても日時の決定が先決です。
日時が決定しないと法要に参加してもらう親族の都合がつけれなかったり法要後の会食の手配ができなかったりと何も進めることができません。
特に一周忌や初盆などで親族以外の故人と親しかった方を招きたいとお考えの場合は相手の都合にも配慮して余裕を持って準備をすすめたいですね。
以下に法要・法事を営むために必要な主だったことをまとめてみました。
お寺との打ち合わせ | 法要を依頼するお寺に日取りの相談をします。 特にお盆などお寺が多忙になると予想される時期などは早めに僧侶の予定を抑えておかないとこちらの希望どおりに行えない可能性もありますので「まだ先のことだからいいや」と思わずに早めの行動をおすすめします。 |
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親族など招待する方への連絡 |
僧侶の予定が決まったら、法要に招待する方へ日時のお知らせをします。 法要後に会食の席を設ける場合は案内状に「法要後同所にて供養の粗宴をご用意致しております」など書き添えます。 |
料理の手配 |
おおよその出席人数がわかれば法要後の会食のため、お店の予約や仕出し料理の手配をします。 当日お越しくださったのに料理の追加が間に合わず慌てた様子を見せてしまうとお互いに気まずい思いをすることになるので、こういった席では足りないより多すぎるくらいでいいと割り切りましょう。 また都合により法要後の会食までは都合がつかないという方がいた場合には食事をしていただかない代わりに折り詰め弁当などを持ち帰って頂けるように用意する場合もあります。 |
引き物(手土産)・返礼品の手配 |
供養の粗品として法要に参列してくださった方への手土産代わりの引き物を用意します。 お下がりを配る場合や法要後に会食の席を用意している場合は引き物をしない場合もありますが、四十九日・一周忌や三回忌、または初盆など節目となる法要の際には遺族から参列者へお礼の品を用意し持ち帰って頂くケースが多数です。 想定していたより高額のお供えや香典を頂いた場合は後日礼状とともにお礼の品を贈るとよいでしょう。また法要には参列してない方からお供えや香典を頂いた場合は、頂いた額の3分の1~半額程度の品を礼状と共に贈ります。 どんなケースでもお返しは3分の1~半額程度を目安とするのが一般的です。 |
法要場所の準備 |
法要を自宅で行う場合は人数分の座布団や湯のみ・茶托などをはじめ、当日使うろうそくや線香など不足がないか確認をしておきましょう。 また仏壇などのほこり取りや玄関・トイレなど参列者の方が利用する場所の清掃も行いましょう。 |
墓掃除 |
当日墓参りに行く場合やそうでない場合でも、墓がそう遠くない場所にある場合はこの機会にお墓の掃除もしておくといいでしょう。 法要の際にお墓参りに行ったときに雑草だらけであったり、墓石が汚れたままだったということのないように気をつけましょう。 |
僧侶へのお礼 |
僧侶への謝礼としてお布施(おふせ)を用意します。 「お布施」と表書きされたものが市販でありますのでそれを活用するとよいでしょう。今では100円ショップでもてに入りますので非常に便利です。 お布施の金額は地域やお寺によっても様々ですが筆者が檀家寺に払う年忌法要の際のお布施は3万円~5万円です。そのためポチ袋サイズの封筒は使用しません。ご参考までに。 |
上記はあくまで法要の準備で考えられる事柄をまとめたものですが、宗教や地域の風習などによっても必要な準備には異なりがあるかと思いますがご参考にしてみてください。
余談~筆者の地域のお布施事情
上記の年忌法要の際のお布施は 3万円~5万円とお伝えしましたが、月命日にお経をあげに来て頂く際には1,000円を包み、お経終わりのお茶出しの際にお礼と共に差し出します。
月命日のお参りは当然毎月ありますし、70件ほどを受け持つ檀家寺なので僧侶のお小遣い程度でいいんですね。
このときのお布施は少額のためポチ袋サイズのお布施袋を使用します。
100円ショップで買ったものです。
法要が重なったとき
自身の家で執り行う法要が重なる場合
例えば祖父と父親など、一年のうちに2つ以上の法要が重なってしまうという場合は回忌の近い他の故人と法要を一緒に行うこともあります。
これを「併修(へいしゅう)」や「合斎(がっさい)」といいます。
併修を行う場合は日取りの早い方の命日と合わせることが多いようですが、最近は季節柄や交通事情などの様々な事情を考慮してできるだけ人が集まりやすい日取りを決めるというケースが増えています。
併修はあくまでその家で執り行う法要が重なる場合に行う方法で、他の親族方の祖父と自分の家の祖母など施主(主催者)が異なる場合ではありません。
法要が重なる場合でも七回忌くらいまでは併修せずに独立して法要を行うのが良いとされていますので法要を依頼するお寺に相談されてもいいかと思います。
また、七回忌以降は法要の規模を縮小する傾向もありますので家族だけやごく親しい親族(故人の子・兄弟姉妹など)のみで小規模で行うことも珍しくありません。
いずれにせよ併修をお考えの場合は誰と誰の法要を一緒に行いたいかをお寺に事前に伝えておく必要があります。
宗教にもよりますが戒名を読み上げてもらうなど僧侶にも事前の準備が必要になると考えられるからです。
招かれる法要が重なった場合
親族間で法要が重なる場合などは双方で相談して日取りを調整することも可能ですが、どうしても調整がつかないということも起こりえます。
そんな場合は夫婦でそれぞれの法要に手分けして参加したり、故人や遺族との血縁の近さで判断することも必要となってきます。
また故人と親しかったため親族ではないけど法要に招かれた際に自身の身内の法要と重なる場合はご自分の身内の法要を優先させ、出席できない先方へ供物を送ったり後日改めてお線香をあげに伺うなどするとよいでしょう。
家族で手分けして法要に出向く場合や第三者が代理として出向く場合などは事前に誰が伺うかを知らせるようにしましょう。
代理人は本人がなぜ参列できないかその理由をきちんと伝える必要もあります。
法要・法事の服装
法要の際の服装に厳密な決まりはありませんが、一般に黒やグレーなど地味な服装を心がけます。
三回忌までは喪服を着用し、徐々に年月とともに黒から紺やグレーなどと色を薄くしていく傾向がありますが年数が経っていても派手な装いは避けて地味なものを選ぶようにします。
ここで大切なのが施主側(招く側:遺族)の服装が参列者より軽い装いにならないようにすることです。
参列者がきっちりと喪服を着用しているのに対して遺族側が平服では失礼になり、逆の場合も同じです。
招く側と招かれる側の服装の格が同じようになるように、遺族側が平服を着用する場合は案内状などで「平服でお越しください」と一言触れておくようにしましょう。
平服とは?
平服は簡単に言えば普段着ということになりますが、法要の席などあらたまった場所では平服=普段着という認識でいると恥をかくことにもなりますし場合によっては失礼にもあたります。
言うまでもありませんがジーンズやTシャツ、古着や着崩した格好などラフな服装は避けます。
あくまでフォーマルな雰囲気を守ることを前提に服装を選びましょう。
「平服で」と言われても法要の場では襟付きのジャケットを着用するとよいでしょう。僧侶がお経を唱える法要の間は供養の場であり、その気持が現れる装いを心がけます。
法要後の会食では親族たちとの交流の場という考えで少し楽な服装に着替えるということも見受けられますが、法要の間はきちんとした服装で故人の供養につとめましょう。
男性の服装
喪服以外で着用するなら、スーツであればシングルでもダブルでもどちらでも構いません。
色は黒や紺、明るすぎないグレーなどにします。
また、ネクタイや靴下、靴も派手な色柄は避けて黒やグレーのものを選ぶと良いでしょう。
時計やベルトなども派手なものは控えるようにしましょう。
特に手元は焼香をする際など意外と目立ちますので金ピカ時計や指輪など装飾品は控えます。
女性の服装
喪服以外の女性の法要の際の装いでは肌を露出する服は避けるようにしましょう。
色は男性と同じく黒や紺、明るすぎないグレーなど地味なものを選び、ワンピースやスーツなどを着用することが多いです。
スカートの場合は正座をしたときに膝が出ないように丈が短かったり、タイトすぎるものは避けたほうが立ったり座ったりの所作も美しく何よりも動作がラクです。
ワンピースやパンツスーツなどズボンを着用する場合でも素足は厳禁ですので靴下かストッキングを着用します。
スカートの場合はストッキングを着用される方も多いかと思いますが、カジュアルな印象のタイツやラメ入りの光沢のあるもの、柄入りのものは避けて黒か肌色のシンプルなストッキングを着用しましょう。
アクセサリーもキラキラ光るものや大ぶりなものなど派手なものは避け、派手なネイルも控えます。
男性でも女性でも控えめな装いを心がけ、おしゃれよりも供養の場にふさわしい服装であるかを考えましょう。
施主との服装のバランスが大切と記載しましたが、平服のボダーラインで迷ったり、下手に自分だけが他の参列者よりカジュアルになり悪目立ちしてしまうよりは、服装で迷った際は何回忌でも喪服を着用しておくほうが失礼に当たることはまずないので安心です。
迷った際はどちらが正装に近いかを考えて決めるとよいでしょう。
法事の服装についてはこちらの記事もご覧ください ↓
法要に招かれたら必ず出席しないとだめ?
法要に招かれた際は病気などのやむを得ない事情を除きできるだけ出席するのがマナーとされています。
また法要はあくまで招待されたら出席するものですので、こちらから日取りや場所を確認したり、声もかかっていないのに押しかけたりしないのが普通です。
というのも、法要後には会食の席を設ける場合がほとんどで予め人数を把握した上で遺族も段取りをしているため急な押しかけはかえって迷惑となることもあります。
法要に招待されたら出欠の返事は早めにすること
法要の案内状が届いたり、招待の声がかかった場合はできるだけ早く出欠の返事をしてください。
先にも記載したように食事や返礼品、場所の確保など遺族側の準備もありますので早めの返事を心がけましょう。
出席の返事をしたら必ず行く
遺族側は出席の返事をもらってから準備にあたりますので出席しますと返事をしたなら必ず出向くことは言うまでもありませんが、遅刻をしたり途中で帰ってしまうことは招いた側に大変失礼になりますので絶対にやめましょう。
やむを得ない事情で時間に遅れたり、途中退席が必要になった場合は施主に事情を説明して失礼のないように誠意ある振る舞いを心がけましょう。
お供えのマナー
お供え物は必要?
お供え物が必要かどうかは故人や遺族との関わりや地域の習慣によっても異なり、必ずしも法要にお供え物を持参する必要があるとは言い切れません。
最近では法要に出向くに当たり、供養の気持ちとして品物ではなく「御供物料(おくもつりょう)」として現金を包むケースも増えています。
しかし、地域によっては供養の一つしてお供え物を最後に「お下がり」として分け合う風習があるところもありますのでそういった場合には現金よりも品物をお供えしたほうがいいでしょう。
事前に親族間でお供えについて相談しておくとよいでしょう。
また親族ではないけど故人と親しかったため法要に招待された場合には先方の風習を確認することが困難であるためそういったケースでは持参しやすいほうを選ばれてもいいと思います。
ご遺族はそのお気持ちに感謝されることでしょう。
お下がりとは?
法事に出席くださった方やお供えを頂いた方々で分け合ったお供えの品を「お下がり(おさがり)」といいます。
仏壇に供えられたものを頂くことに抵抗のある方もいらっしゃるようですが、お下がりは一旦お供え物として「仏様のものになったお供えを、仏様からいただく」という行為であり、持ち帰った後も目に見える形で仏様に感謝し、お下がりを通じて命やご縁のありがたさを受け止めるという意味合いがあります。
お下がりは感謝の気持ちを全員で分かち合うありがたいものですので、配られたら断らずにありがたく頂戴しましょう。
余談~筆者の地域のお下がり事情
筆者が住む地域(関西)では35日や49日など節目となる法事の際にはご近所の方が前日にお供えを持参し「お供えください」とお供え物を渡す習慣があります。
法事に出席していなくてもお供えを下さった方には必ずお下がりを用意し、法事後当日、または翌日にはお礼の挨拶と共に配ります。
お下がりをする習慣があるため、お供え物は個包装になっていてある程度数が揃っているものを選ぶ傾向にあります。
菓子折りなどももちろんあるのですが、缶ジュースやインスタント食品などを箱買いしてその箱ごとのし包装したものを備えてくださる方も多くいらっしゃします。
また季節の果物をお供えしてくださる方もいて、果物の場合は桃やぶどうのように潰れやすいものは控え、リンゴや柿、みかんなどが多いです。
お下がりは当日に配るか翌日には配ってしまうので賞味期限や法要当日などでない限り特に気にする傾向はありません。
お供え物の予算で数を揃えるとなるとこういった品を選ぶこともあり、お下がりを作りやすいということが品物選びの基準となることもあります。
お供えの相場
お供えを品物でする場合の金額の目安としては3~5千円程度の品を選ばれることが多いですが、現金を包む場合は故人との関係や地域や習慣によっても異なりますが、5千円~2万円ほどとされています。
血縁の近い親族の場合は3万円や5万円を包む場合もありますが、そうでない場合は1万円を包む方が多いようです。
お供えの品物選び
お供えを品物でする場合には食品が定番で、個包装になっていて日持ちのするものがよいとされています。
個包装になっているとお下がりの習慣がある地域だと分けるのに便利ですし、お下がりをしない場合でも、宗教的な話しやマナーうんぬんを抜きにしても切り分けが必要な食品は手間をかけることになりますので個包装のほうが召し上がっていただきやすいためおすすめです。
日持ちするかに関してはしばらく仏前にお供えしておく期間や季節的なことなどに配慮して常温管理できるもののほうがいいでしょう。
すぐに傷んでしまう食品ではお供えしておく暇もなく受け取った方も管理に困るかもしれません。
お菓子以外の食品なら佃煮や海苔、コーヒーや紅茶を含むお茶などでもいいでしょう。
また、お花をお供えする場合にはバラなどのトゲのあるものは避けるようにします。
胡蝶蘭や百合などが一般的ですがお花屋さんで仏事用のアレンジをしてくれるところもありますので予算と相談されてもいいかと思います。
お供え のしの書き方
品物でも現金でも遺族が誰から何(いくら)を頂いたか管理するため必ず差出人の名前をのし紙または不祝儀袋に明記しましょう。
品物の場合
お供え物には必ずのし掛けと包装を施しましょう。
水引の色は四十九日までなら「黒白」が一般的とされていますが、関西では時期に関係なく「黄白」を用いる場合もあります。
お供え物を購入するお店で「○回忌のお供えです」と伝えれば最適なもので用意してくれるでしょう。
また表書きは「御供」または「御供物」とし、自身の名前を書きます。
苗字だけの記載でもいいのですが、近所や親族で同じ苗字の方が多い場合や苗字だけでは遺族の方が迷われるという場合にはフルネームで書くとよいでしょう。
お供え物は誰からの心遣いかがひと目でわかるよう包装してからのし掛けをする「外のし」とされるのがよいでしょう。
現金の場合
不祝儀袋に「御供物料」や「御仏前」と書きますが、四十九日前なら「御霊前」と書きます。
ただし、浄土真宗の場合は四十九日の前でも一貫して「御仏前」とします。
水引の色は品物にかけるのし紙と同様に四十九日までは「黒白」とされており、それ以降は「黄白」とするのが一般的と言われていますが、地域によっては現金を包む場合は時期に関係なく「黒白」の水引のみという地域もあります。
水引はすでに印刷をされているものでも構いません。
特に1万円までの現金を包む場合はあまり立派な水引のものは使用しません。
中に入れる金額と袋とのバランスが取れているようにします。
これはお供えに限りませんが品物でも現金でも水引の色に厳密な決まりは実のところありません。
黒白でも黄白でもあくまでその地域で一般的なものが主流となっているにすぎず、筆者は関西在住で品物には「黄白」の水引が一般的ですがその他の色を使用したからと言って失礼にもなりませんし、指摘もありません。
お供えの渡し方
当日お供えを持参した場合に、現金でも品物でもいきなり仏壇に供えることはやめましょう。
まずは施主(遺族代表)に一言かけ「御仏前にお供えください」と伝えてから渡します。もしもその時に施主が「どうぞお供えしてやってください」など言われた場合は「では失礼させていただきます」などといって仏壇に自らお供えし手を合わせましょう。
返礼品のマナー
お供え物や香典を頂いたらお返しをします。
お下がりや法要後に会食の席を設ける場合は個別のお返しはしないケースもありますが、帰り際に引き物(手土産)を用意することもあります。
また法要には来ていないけどお供えを頂いていた場合には後日お返しを贈ります。
引き物(ひきもの)とは?
引き出物は祝い事というイメーが強いですが、法事で参列者に持ち帰ってもらう返礼品も引き出物と呼ぶことがあります。
引き出物というのが招待客に配る品であることから、仏事でも引き出物という言葉を使うことは間違いとは言えません。
しかし、やはり引き出物=結婚式というおめでたいイメージを抱く方が多いことも事実ですので、最近では仏事に関係する場合は引き出物という言葉ではなく「引き物(ひきもの)」という言い方をするケースが増えています。
意味としては同じですが、慶弔で区別をつけることで不愉快な思いをする人も減るという考えもあるようです。
返礼品の相場
頂いた金額の3分の1~半額程度を目安とします。
当日引き物として品物を用意する場合はお供えの額に関係なく3千円~5千円ほどの礼をお渡しすることもあります。
また、予想よりも高額の現金を包んでいただいていた場合などには、後日改めて礼状と共にお礼の品を贈るとよいでしょう。
余談~筆者の地域の返礼品事情
筆者の地域では法要の度に持ち帰り用の引き物を用意するということはありませんが、四十九日法要の時だけはそれまでの忌日法要に参列して下さったり、毎回お供えを頂いたお礼として親族に5千円ほどの品を持ち帰って頂きます。
またお下がりの習慣もあるため、四十九日や三十五日など来てくださる人数が増えると予想される節目の法要では施主側からも3千円ほどのお供えを出します。
一周忌や、三回忌などその後に行う法要では特に引き物は用意せず、この場合も施主側から供養の品を仏前のお供えとして用意し、お下がりに加えてもらいます。
返礼品の品物選び
当日持ち帰り頂く場合にはあまりかさ張らずに重くない「海苔」や「お茶」「菓子」などが定番とされています。
また仏事の場合は「消え物(きえもの)」と言われる消耗品が良いとされており、「不幸をあとに残さない」という意味が込められています。
そういう意味では洗剤も消耗品で、かつては香典返しなどではよく利用されていました。
これはあくまで筆者の主観ですが、昨今では洗剤も様々な種類があり、家庭ごとの好み・こだわりもあることなどから洗剤を返礼品として利用される方も少なくなってきているように思います。
特に洗剤は場所も取りますし何より重いですので持ち帰りには不向きですし、宅配したとしてもすぐに消費するのも困難なため、あまり好まれないのかもしれませんね。
最近ではフリーズドライのお味噌汁の詰め合わせなどを贈る方も多いようで、日持ちもするし重くなく消費しやすいので個人的にも良いチョイスだなと思いました。
重くないもの、かさ張らないものでと神経質になりすぎると品物選びに困りますし、電車や徒歩など明らかに不便な思いをさせる方がいた場合は配慮は必要でしょうが、車社会の現代では多少そのあたりはゆるく考えてもいいかと思います。
返礼品のしの書き方
返礼品には「粗供養(そくよう)」「志(こころざし)」といった表書きが一般的ですが、「志」は仏事のお返しで利用シーンや宗教などに関係なく使用できる表書きですので迷った際は「志」とされるのがよいでしょう。
粗供養(そくよう)とは、「供養の粗品」と言う意味のへりくだった表現で関西または西日本ではよく利用される表書きです。
水引の下には施主の姓を書きますが「田中家」などのように家をつけても構いません。
後日贈る場合は礼状をつける
後日に改めてお礼の品を贈る場合は礼状を添えるとより丁寧なお返しとなり遺族側の感謝の気持ちも伝わりやすいと思います。
最近では特に仏事ギフト専門店などではこういった法要の際の礼状を用意してくれるとこともありますのでそういったお店で返礼品を買うのもおすすめです。
挨拶状や礼状が豊富なお店を以下にご紹介させていただきます。
文面を自分で考えるのは難しいとお考えの方や、既成の内容では少し希望と異なるという方も柔軟に対応してもらえるので礼状でお悩みの方におすすめです。
もちろん商品を購入すると無料で作成してくれますので一度チェックしてみて下さい。