お悔やみの手紙 基本のマナー
弔事の手紙はあいさつなどの前文を省略する
「拝啓」などの頭語や、時候の挨拶などの前文は省略し、「○○様のご逝去のお知らせに言葉もありません。」など直接本文に入り、お悔やみの言葉を述べます。
お悔やみの手紙は、訃報を聞いたら時間をおかず、取り急ぎ出すもので、故人を悼む気持ちがまず先にあって書かれるものですので、冒頭の挨拶を省いてでもお悔やみを述べるのが先だからです。
はがきは使用しない
基本として、はがきは親しい身内や知人などでやり取りする際に使用するもので、他人に見られてもかまわない内容や、簡単に要件のみ伝える場合など、あくまで略式とされています。
お悔やみの手紙など正式な手紙には封書を用いるのが礼儀です。
封筒や便箋は、白無地の縦書きものを使用しましょう。
便箋は一枚、封筒は一重のもを使用する
弔事の手紙では、「不幸が重なる」ことを避けるため、封筒は一重のものを使用します。
また、便箋も一枚でおさめるように気をつけて書きましょう。
お供えの品にお悔やみの手紙を添える場合は、封筒や便箋を使わず仏事用のメッセージカードを使うこともあります。
お悔やみの手紙をメインと考えず、あくまでお供えの品に一言添えるものと考えていいでしょう。
お悔やみの手紙 文面のポイント
書き出し
先述にもあるように、お悔やみの手紙では「拝啓」や時候の挨拶などの前置きは省略し、すぐに本題に入ります。
「○○様が旅立たれとの悲しいお知らせを受けて、いまだ信じられない気持ちでおります」など、故人への追悼の念を書きます。
弔問できない理由やお詫びの言葉を書く
本来なら、通夜や葬儀に参列したり、直接出向いてお悔やみを述べるのが最も礼にかなった方法ですが、やむを得ない事情で直接お悔やみを述べることができない場合は、弔問に伺えない理由を言い訳がましくならない程度に簡潔に書き、お詫びの言葉を述べます。
遺族を気遣う言葉を書く
遺族あての手紙なので、心からのいたわりや励ましの気持ちを書きます。
悲しみの気持ちを表すことも大切ですが、遺族を気遣う文面になるように書きましょう。
故人との思い出や関係性を簡潔に書く
故人との思い出を書き添えると、形式的になりがちなお悔やみの手紙が、心のこもったものとなるので、遺族に対し、より気持ちが伝わりやすい。
また、故人との関係性が分からず遺族の方が困ってしまうことのないよう、特に遺族と面識のない場合は、あなたが誰なのかが分かる一言を文面に添えましょう。
香典や供物などを贈る場合は明記する
香典や供物に手紙を添えて贈る場合は「心ばかりのものを同封いたしました。御霊前(御仏前)にお供え頂けますようお願い申し上げます。」など、必ずそのことを明記します。
あとから遺族の方がお返しをする際にもきちんと書いてあれば、名簿代わりの参考にできるため親切です。
香典や供物の表書き
仏式の場合の表書きは、忌明け前なら「御霊前」とし、四十九日の忌明け後は「御仏前」となります。
※浄土真宗だけは御霊前とは書かず、忌明けの時期に関係なく「御仏前」「御佛前」とします。
神式の場合は「御玉串料」とし、キリスト教の場合は「御花料」とします。
忌み言葉に注意する
死を連想させる不吉な言葉や、不幸が重なることを連想させる重ね言葉などに注意して書きます。直接的な表現も避け、オーバーな表現も避けましょう。
「四」「九」
「重ね重ね」「またまた」「追って」「次々」「再三」
「また」「再び」「続いて」
「返す返す」「くれぐれも」「しばしば」「皆々様」「いよいよ」
「死ぬ」「死亡」「生存」「ご存命」「死去」
「とんだこと」「浮かばれぬ」 など
ケース別お悔やみの手紙文例
お悔やみの手紙・葬儀に出席できない場合
お母様が旅立たれたとの悲しいお知らせを受けていまだに信じられない気持ちでおります。
お母様には学生時代、よくおいしい手料理をごちそうになりました。
私は実家を離れ、下宿生活をしておりましたので、お母様には実の母のように可愛がっていただきましたのに、ご恩返しもできないままで残念です。
本来ならすぐにでもお伺いして、お悔やみ申し上げるべきところ、長期出張中にて葬儀に参列がかないませんこと、どうぞお許し下さい。
ご家族の皆様にはさぞご心痛かと存じますがどうぞお力をおとされませんようご自愛ください。
なお、心ばかりのものを同封いたしましたので御霊前にお供えいただけますようお願い申し上げます。
略儀ながら、書面にてお悔やみ申し上げます。
合掌
喪中はがきで不幸を知った場合
このたびはご丁寧なるごあいさつをいただき、ご尊父様ご逝去を知り、ただ驚くばかりです。
ご無沙汰しておりましたため、少しも存ぜず失礼いたしました。
遅ればせながら心よりお悔やみ申し上げます。
ご家族の皆様もさぞお心落としのことと存じますが、寒さ厳しき折、なにとぞご自愛ください。
喪中とは知らずに年賀状を出してしまった場合
ご令室様がご他界され、ご服喪中とのお便りをいただき驚いております。
遅ればせながら、謹んでお悔やみ申し上げます。
少しも存じませず年始状をお送りし、大変失礼いたしました。
ご容赦いただきたくお願い申し上げます。
ご家族の皆様には、さぞお力おとしのことと存じます。
寒さ厳しき折から、ご自愛下さいますようお祈り致します。
遅れて亡くなったことを知った場合
お父様のご逝去を知りとても驚いております。
ご高齢とはいえ、お元気なご様子を伺っておりましただけに、ご家族の驚きやご心痛はいかばかりかと拝察し、心よりお悔やみ申し上げます。
しばらくご無沙汰していたために、お父様が亡くなられていたことも存じませず、弔問にもお伺いせずに申し訳ございませんでした。
遅ればせながら謹んでご冥福をお祈りいたします。
ご家族の皆様におかれましては、さぞお寂しい毎日かと存じますが、どうかお体を大切にお過ごしください。
心ばかりのものを同封いたしましたので御仏前にお供えください。
略儀ながら書面にて、心よりお悔やみ申しあげます。
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遅れて知ったらすぐにお悔やみを
年賀欠礼のはがきで不幸を知ったり、海外にいたため不幸を知ったのがずいぶん後だったということもあります。
その場合は、知った時点でできるだけ早くお悔やみが遅れたお詫びを伝えましょう。
知らずに年賀状を出してしまった場合もすぐにお詫びの手紙を。
お香典を郵送する場合はお悔やみの言葉を添えて
直接出向けず、お香典を郵送する場合は、必ず現金書留で送ります。
その際にお香典だけを送るのではなく、きちんとお悔やみの手紙を同封しましょう。
また、香典袋も中袋の記載も含め、持参する場合と同様に書きます。
表書きは薄墨で書き、「御香料」や「御霊前」「御佛前」など宗教や忌明け前か後でも変わりますので注意が必要です。差出人の氏名もきちんと書きましょう。
中袋にもきちんと差出人氏名・住所・金額を明記するのが礼儀です。
日を改めてお悔やみに伺う場合
取り急ぎ、不幸を知りお悔やみの手紙を出した場合でも、後日改めてお悔やみに伺うつもりの場合は、その旨を手紙に書きましょう。
ただし、社交辞令は失礼になりますので、書き添えたら必ず遺族の都合を聞いてから時期を見て伺いましょう。
◆
喪中見舞いを贈るなら線香やロウソクの他に相手が気を使わない程度の額の菓子折りなどでもいいでしょう。
以下にご紹介するお店は商品ひとつだけの注文でも礼状やお悔やみ状を無料で作成してくれるのでおすすめです。
【参考文献】
冠婚葬祭お金とマナー大辞典:主婦の友社編
作法が身につく しきたりがわかる 冠婚葬祭マナーの便利帖:岩下宣子 (著, 監修, 監修)
お坊さんがイチから教える! 葬儀・法要のマナーと心がまえ―宗派ごとの違いも大胆に説明:現代の葬儀を考える僧侶の会 (監修)
冠婚葬祭とマナーの基本事典:ザ・アール監修・成美堂出版
三越伊勢丹の最新 儀式110番: こんなときどうする? 冠婚葬祭:三越伊勢丹ホールディングス (著)