挨拶状とは?
ご挨拶状とはお香典を頂いた方々に葬儀の際のお礼や忌明け法要を滞りなく営んだ(又は、営む)旨などをお伝えする大変重要なものです。
忙しい中、故人のためにお供えをくださった方へ謝意を伝え、また故人の法要が滞りなく行なわれたことの報告も兼ねているため、挨拶状を添えることをおすすめ致します。
香典返しというしきたりがない仏式以外の宗派の場合でも、日本の習慣が影響して、五十日祭や三十日目の追悼式・一ヶ月目の召天記念日などを忌明けとして香典返しをするというのがごく一般的になっているため、挨拶状の文面はなんでも良いというわけではありません。
主に"死の表現"、"忌明けに対する表現"が大きく異なります。
例えば仏式では「死去」と表すのに対し、神式では「帰幽」となったり、仏式では「忌明けの法要」と記載するのに対し、神式では「五十日祭」となったりします。
また、原則として「、」「。」などの句読点も使用しません。
どうして挨拶状には句読点を使わないの?
句読点は文章を読みやすくするために、明治頃に学校で子供が読みやすいように用いられたとされ、句読点を使用することは相手の読解力がないと言っているのと同じと捉えられ失礼にあたるからです。
以下にそれぞれの挨拶状の文例をご紹介します。
仏式:文例
謹啓
御尊家御一同様愈々御清祥のこととお慶び申し上げます
過日 亡父 次郎儀死去の際は御懇篤なる御弔慰と過分なる御厚志を賜わり御厚情の程誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして【戒名】
忌明けの法要を滞りなく相営みました
早速拝眉の上親しく御礼申し上げるのが本意でございますが書中をもって御礼かたがた御挨拶申し上げます
敬具平成二十八年十二月
石 川 太 郎
※戒名を入れない場合は「おかげをもちまして忌明けの法要を滞りなく相営みました」などと続けます。
キリスト教:文例
謹啓
御尊家御一同様愈々御清祥のこととお慶び申し上げます
過日 故父 次郎儀召天の際は御懇篤なる御弔慰と過分なる御献花を賜わり御厚情の程誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして記念会を滞りなく相営みました
早速拝眉の上親しく御礼申し上げるのが本意でございますが書中をもって御礼かたがた御挨拶申し上げます
敬具平成二十八年十二月
石 川 太 郎
神式:文例
謹啓
御尊家御一同様愈々御清祥のこととお慶び申し上げます
過日 故父 次郎儀帰幽の際は御懇篤なる御弔慰と過分なる御玉串料を賜わり御厚情の程誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして五十日祭を滞りなく相営みました
早速拝眉の上親しく御礼申し上げるのが本意でございますが書中をもって御礼かたがた御挨拶申し上げます
敬具平成二十八年十二月
石 川 太 郎
天理教:文例
謹啓
御尊家御一同様愈々御清祥のこととお慶び申し上げます
過日 故父 次郎儀出直しの際は御懇篤なる御弔慰と過分なる御献花を賜わり御厚情の程誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして五十日祭を滞りなく相営みました
早速拝眉の上親しく御礼申し上げるのが本意でございますが書中をもって御礼かたがた御挨拶申し上げます
敬具平成二十八年十二月
石 川 太 郎
会葬礼状:文例
謹啓
御尊家御一同様愈々御清祥のこととお慶び申し上げます
過日 亡父 次郎儀死去の際は御懇篤なる御弔慰を賜り
御厚情の程誠に有難く厚く御礼申し上げます
故人に賜りましたご厚誼に対しまして深く感謝申し上げます
早速拝眉の上親しく御礼申し上げるのが本意でございますが書中をもって御礼かたがた御挨拶申し上げます
敬具平成二十八年二十八月
石 川 太 郎
上記は筆者が昨年、実際に香典返しを注文する際に利用した参考サイトより引用を致しました例文です。ご自分で作成する際には宗派によって表現を変えたり、お店に依頼する際にはお店ごとにまた違った内容になる場合があると思いますのでご参考までにご覧くださいませ。
↓挨拶状の言葉の意味については以下の記事に詳しくまとめてあります。
文例にある"弔慰"や"厚志"とは?
・愈々(いよ-いよ):
ますます、より一層。
・尊家・御尊家(そんか・ご-そんか):
相手を敬ってその家・家族をいう語。尊宅。尊堂。貴家。
・清祥・御清祥(せいしょう・ご-せいしょう):
手紙文で、相手が健康で幸せに暮らしていることを喜ぶあいさつの語。
・弔慰・御弔慰(ちょうい・ご-ちょうい):
人の死を悼む「気持ち」のこと
※今回の挨拶状に関しては通夜・葬儀への参列を指す文面となる
・厚志・御厚志(こうし・ご-こうし):
情の厚い心。親切な気持ち。相手の好意などに対していう。
※今回の挨拶状に関しては「香典」を指す文面となる
・懇篤・御懇篤(こんとく・ご-こんとく):
心がこもっていること。手厚いこと。
・厚情・御厚情(こうじょう・ご-こうじょう):
人情が厚いこと。厚い情。相手の気配りや思いやりの心を敬って言う場合などに用いられる。
・拝眉(はいび):
人に会うことを、その人を敬っていう謙譲語。拝顔。
【参考文献】
葬儀・法要・相続 マナーと手続きのすべて:主婦の友社編