昔は葬儀にかかる費用を香典でまかなっていたこともあり、相互扶助つまり「助け合い」の意味での香典が一般的でしたが、昨今では香典返しの負担などを考えて遺族が香典を辞退するケースが増えています。
それでは、本当に香典辞退の場合は香典を用意しなくていいのか、また香典辞退を考える遺族はどのように参列者に伝えるのが適切かを順にご紹介します。
【一般会葬者】香典を辞退された場合
遺族が香典を辞退された場合、香典を差し出す必要はありませんが親族は必要という場合もあります。
また、一般会葬者の場合でも事前に香典辞退の知らせを受けていない場合は、礼儀として香典は用意していくのがよいでしょう。受付で辞退の申し出があれば無理に差し出さず記帳のみにします。
しかし、香典を辞退されてはいるものの、何か別の形で弔意を表したいと考える方もいらっしゃるでしょう。その場合は、供物(くもつ)や供花(きょうか)を贈るという方法があります。
供花とは:
故人に供える花のことで、祭壇や斎場を飾ります。友人一同や会社など団体で送る場合が多いですが、個人名義で出しても構いません。手配方法については、葬儀場でできる場合は支払いも会場に行った際に行なうことができますので、事前に葬儀社に確認するか受付や帳場などに声を掛けて案内に従うとよいでしょう。
供物とは:
こちらも故人に供えるお供え物のことで、祭壇や斎場を飾る「盛籠(もりかご)」を指す場合が多いでしょう。菓子や線香など小さなものであれば個人で用意することも可能ですが、会場に飾った時の見栄えなどの統一感もありますので、盛籠など供物を用意する場合は葬儀を取り仕切る葬儀社に依頼する場合がほとんどです。
供花や供物を贈る場合は注意しましょう
供物や供花は式場内に飾られるため、配置などに困る場合があります。また、葬儀社によっては他の手配先からの持ち込みがNG(式場内での統一感などを考慮して)の場合もありますので、事前に葬儀社などに確認をしてからにしましょう。
また、会場スペースの都合により供物・供花の申し出をしても受け付け出来ない場合もありますので、当日いきなり他所で手配したものを持ち込むなどということはやめておきましょう。
遺族が香典辞退をされる理由は様々あるかと思いますが、あくまで相手側に配慮した行動を心がけましょう。「何もしない」ことも心遣いという場合もあります。
葬儀の際に供花や供物ができなかった場合でも、初七日から四十九日の間に霊前へのお供えとして、花や品物を自宅に贈るという方法もありますので、七日ごとに行われる忌日法要にあわせて手配するのもよいでしょう。
「ご厚志お断り」の場合
香典の他に、供物・供花などのいっさいを遠慮するという意味ですので、この場合は何もせず、きちんと手を合わせ故人を送り出すことが、最善の弔意の表し方であることを覚えておきましょう。
また、「供物・供花はご辞退申し上げます」とある場合は香典は別途必要です。
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【遺族】香典を辞退する場合
香典を辞退する場合は相手の気持に感謝しつつ、しっかりと香典を受け取らない旨を事前に知らせる必要があります。方法としては2つで、
・案内状に香典辞退の旨を記載する
・葬儀場など会場に看板などを設置する
案内状に香典辞退の旨を記載する場合
香典辞退は事前に参列者が当日戸惑わないために案内状を出す場合は香典辞退の旨も記載しましょう。
「誠に勝手ながら、御香典(ご供花、ご供物)の儀は固くご辞退申し上げます」
「故人の遺志により御香典は謹んでご辞退申し上げます」
など書き添えるようにしましょう。
葬儀場に看板を設置する場合
すべての人に案内状を送付することはできませんし、案内状の作成をしない場合も多くあります。そういった場合には葬儀場の受付付近に看板を設置します。
葬儀社に事前の打ち合わせで香典辞退の旨を伝え、看板を用意してもらうとよいでしょう。最近では香典辞退が多くなってきたため、葬儀社に依頼すれば用意してもらえることがほとんどです。
辞退を申し出ても香典を差し出されたら
一度お断りをしても、それでも香典を差し出された場合は相手の気持ちも汲み、ありがたく受け取りましょう。
香典辞退が多くなったとはいえ、やはり香典は「するもの」として一般的であることも事実ですので、頑なに断ってしまっては相手に不快な思いをさせていまう場合もあります。
香典を受け取ったら香典返しが必要になってきますので、四十九日の忌明けを過ぎた頃に、頂いた香典の半額程度のお返しを贈りましょう。
【参考文献】
葬儀・法要・相続 マナーと手続きのすべて:主婦の友社編
お坊さんがイチから教える! 葬儀・法要のマナーと心がまえ―宗派ごとの違いも大胆に説明:現代の葬儀を考える僧侶の会 (監修)
冠婚葬祭とマナーの基本事典:ザ・アール監修・成美堂出版
身近な人が亡くなった後の手続のすべて:児島 明日美 (著), 福田 真弓 (著), 酒井 明日子 (著), 児島 充 (その他)